知的障害のある子のひらがな、宿題に悩んだら|我が家が「教え方」を変えた話【障害児の学習支援】

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知的障害のある子のひらがなの宿題の悩みについて書いた記事のアイキャッチ画像

「知的障害のある息子の、ひらがなの宿題。毎日、隣でどう声をかけたらいいのか分からなくて、こっそり脇汗をかいていました。」
これは、そんな我が家の話です。

今も、「これが正解」と言えるものはありません。毎日、あれこれ悩みながらやっています。
ただ、宿題をきっかけに、私自身の「教え方・関わり方」を少し見直してみたところ、気のせいかもしれませんが前よりほんの少し、親子の時間が楽になった気がします。

親として我が子に教えるのは、思っていた以上に難しいものですね。

宿題がないお子さんもいると思いますが、家でお子さんの学習に向き合う場面なら、どこか重なるところがあるかもしれません。
同じように悩んでいる方に、「我が家も同じでした」という気持ちで、これまでのことを書いてみます。

目次

息子のひらがなの宿題に、毎日悪戦苦闘しています

小学生になった息子は、知的障害の教育課程で学んでいます。発達年齢は2歳後半くらいで、特に視覚に頼って生きているタイプの子です。
そんな息子も、普通の子よりずっとゆっくりですが、ひらがなの読み書きを学習しはじめました。

跳んだり跳ねたり回ったり汚したり壊したりしかしていなかった
幼児の頃を思えば、
息子が机で紙に何か書き付けているらしいというだけで
親の私は目に涙がにじんできます…。

…と、感涙していたのも束の間。
家で宿題に取り組む息子の様子を見ると、新たな試練が…。宿題にルンルン取り組む息子の書く手は、書き順も書き方も何もかもがハチャメチャだったのです。

「見たまま書いてるだけ」問題

理解はともかく、文字(っぽいもの)を書くこと自体は喜んでやっている息子。
ひらがな学習自体が初めての経験で「もうこんなに難しいことやっていいのかな…」などと心配していた私にとって、本人のやる気があるのは何よりではあったのですが…さっそく困ったことが。それは…

「ホンットーーーに、見たまま書いてるだけ」問題

息子のなぞり字の再現図。お手本のひらがなを、書き順も向きもバラバラに書き写している様子
息子のプリントのなぞり字はこんな感じです(再現)

お手本と同じ「形の絵」になるように、愚直に線を足していくスタイル…
書き順や書く方向は、縦横無尽のフリーダムです。

専門家の先生から見たら、「あ~なるほど」と見当がつく現象なのでしょうが、
自宅のリビングで息子に向き合っているエプロン姿の私は、毎日脇汗がビショビショです。笑

どうコメントしたらいいの…?

学校の授業でのプリントは、なぜかちゃんと出来ていて「よく見て書けました!」との先生のコメント。たぶん、学校ではその場で先生が適切なガイドをしてくれているのだと思うのです。
でも、私は先生でも療育家でもない、ただの素人…。
息子が鉛筆を走らせてから「あっ!」と慌てるばかりで、何の対応も出来ません。

「明らかに今、下から逆に書いたけど…突っ込まないほうがいいのか!?」
「先生の真似して、色ペンでヒントを入れてみたりしたけど…息子がウザがる
「最終的に、つい『違うよ』と言ってしまう…」
「もしかして、家で間違った書き方を教え込む結果になっちゃってない!?」

学習支援や特別支援教育の本を片手に、見よう見まねで宿題に付き添いましたが…
親が教えようとすればするほど、間違った覚え方をしていく息子…
そしてどんどん空回りして、息子も次第に見られるのを嫌がるように

何と声をかけて、どう補助したらいいのか…正直、毎日途方に暮れていました。

「教え込む」のをやめてみた

毎日途方に暮れながら、ふと怖くなりました。

このままだと、息子にとって学習がイヤな時間になってしまう…。

そこで、いくつか、思い切って変えてみました。

1. 学校に相談して、宿題を調整してもらった

担任の先生に正直に伝えて、宿題のレベルを下げてもらいました。
息子が、何をどうやっても間違いようのない、「クリア済み」のプリントのみに。見たまま書くだけ、同じようにやるだけでOKといったものです。

今回の息子の例で言えば、ひらがなのプリントをいったんお休みして、なぞりがきプリントに替えてもらいました(しかも、ごく短めの直線など簡単な内容から)。

今の宿題の、簡単ななぞり書きの再現図
※こんな感じのプリントです(イメージ)

学校では、その場で先生が適切に導いてくれるので、ちょっと難しめのプリントが息子の力を背伸びさせて伸ばしてくれます。でも、家には先生のようなガイドはありません。同じプリントでも、家では「ただ、見たまま写すだけ」になってしまう。
本人なりに必死でこなした結果が、「書き方ハチャメチャ」「間違った書き方をどんどん覚えていく」だったように思います。

家庭の宿題を「本人の力だけで、いつ・どうやっても必ずできるもの」に変えてもらったことで、「間違える余地のない宿題」ばかりになり、家庭での宿題の時間ができた!」の積み重ねに変わりました(ちなみに、親も「できたね!」と喜んであげればいいので、以前よりずっと楽になりました笑)。

その日やっている宿題はうんと簡単に見えても、本人にとって苦労なくできる宿題が、長い日々を経て少しずつレベルアップしていけばいいんだというふうに思えました。
(家で”書く”以外の遊びで、ひらがなに親しんできた工夫は、別の記事にまとめました。↓)

思いきって、宿題そのものを一時止めてもらったこともありました。(この「宿題を止めた判断」については、後になって深く考えさせられる出来事がありました。いつか、正直な反省も含めて別の記事にまとめたいと思っています)

2. 「違うよ」と言うのを、やめた

間違いを直そうとするほど、息子は嫌がりました。なので、指摘するのをスッパリやめて、口を出す回数をぐっと減らしました。

そもそも1.にあるとおり「間違い」が起きないような宿題にしてもらうのが大前提なのですが、もし間違ってしまったら、そのままスルー
今の理解度はここなんだという記録も兼ねて、間違えたまま先生に提出します。先生に伝わるので、学校で教え直してもらったり、次の宿題はもっと簡単なものにしてもらったり

どうしても何かしたくなってしまったときは、「書けたね」と言って、正しい形を、隣でさりげなく書いて見せる程度にとどめてみました。

3. 「できないこと」より「楽しめたこと」を見る

きれいに書けたかより、「今日は嫌がらずに鉛筆を持てた」「ちょっと笑ってた」…。そんな小さなことを喜ぶようにしました。
教え方は先生がプロなのでお任せして、親は「できたね係」に徹し、役割分担

学習そのものは、学校が息子のペースで見てくれています。だから、家での私の役割は「教え込むこと」じゃなくていいんだなと思い直しました。

宿題の時間が変わった!

宿題を「必ずできるもの」に変えてもらってから、我が家の宿題の時間は、少しずつ変わっていきました。

わが家の“宿題のやり方”

宿題は、簡単ななぞり書きのプリントです。

  • まず、私が息子の手をとって、一緒になぞります。
    …といっても、ごく簡単ななぞり書きなので一瞬で終わります^^;
  • 鉛筆を息子に持たせます。
    ひとなぞりしたら、ひと書き。
  • 書けた瞬間に、「できたね係」の発動です。
    「できたね」は、「すごいねー!!」というハイテンションより、「へえ、やるじゃん」くらいの普通のテンションのほうが、息子は好きみたいでした。人それぞれ。
  • 最後に、できたプリントに大きな花丸を一つ。
    できたごほうびは色々試したのですが、好きなシールスタンプだと「突然違うものが出てきたー!」みたいな雰囲気になってしまってました。息子は花丸が一番喜んでいたので、これも好みによりかなと思います。

これらを、「ハイッ!」→解く→「できたね!」→花丸…と、わんこそばのようにテンポよくやってました。息子はわんこそばとか、餅つきとか、そういった息つくことなく一気に仕上げる的なリズムが好きだったようです(お子さんによって好きなペースは違うと思うので、ご参考程度に^^;)。

簡単なプリント1~2枚をテンポよく仕上げるので、本当にものの5分程度で終わっていました。
脇汗をかいて試行錯誤していた頃からすれば、一瞬みたいな時間です。

息子の様子が、変わってきた

やれば必ずできるので、息子はどこか得意げです。
だんだん慣れてきて、私の手伝いなしでもできるようになりました。こなれてくると、サッサと走り書きするなどして「適当に済ませる様子」「手抜きに見える動き」も出てきますが、そうなると今度は、先生の方から次のステップアップしたプリントが渡されます。

宿題の内容もその後の展開も、ほぼ毎日同じ流れになるので、息子にとっては見通しが立って安心するようです(逆に、退屈を感じやすいお子さんには、この反対がいいのかもしれません)。

また、いつもあっという間に終わってしまうので「もう終わり?」「本当はもうちょっとやれるんだけどな~」と言いたそうな、少し物足りない表情をすることもありました。
親としては喜んでもっとやらせたくなってしまうのですが、ぐっと我慢して終わりにすることで明日への引きにつながっているように思います。「ちょっと物足りない」くらいがちょうどいいのかもしれませんね。

宿題が、親子の時間になった

親の私も、ずいぶん楽になりました。
神経を使う程度が減りましたし、すぐ終わるので、家事の合間でも負担が少ないです。

「解くのをサポートすること」に必死にならなくて済むぶん、息子の表情や様子を見ることに集中できます。気づいたことを連絡帳で先生に伝えられるので、ちょっとした好循環も生まれました。

帰宅してから寝るまで、毎日バタバタと過ぎていきます。でも、宿題の時間が、ほんの数分ですが親子でゆっくり向き合える時間になりました。
息子は幼児の頃から、絵本の読み聞かせやおままごとのようなやり取りを通した遊びが難しく、なかなかできずにここまで過ごしてきました。そんな経緯もあって、この宿題の時間は、私にとって思いがけず貴重なものになりました。

まとめ:覚えさせるより、嫌いにさせない

宿題に悩んでいた頃の私は、「正しく書かせること」に必死でした。
でも今、いちばん大事だったな~と思うのは、

「ひらがなを覚えさせること」より、「文字や勉強を、嫌いにさせないことです。

覚えるスピードには、その子のペースがあります。
焦って詰め込んで、息子が「勉強=イヤなもの」になってしまったら、そこから立て直すのはとても大変でかえって遠回りになってしまいます。
今はゆっくりでも、これならできる」「ちょっと楽しい」と思える時間を、少しずつ積み重ねていけたらいいなと思っています。

正直、これで合っているのかは、今もよく分かりません。毎日、手探りです。
でも、同じように悩んでいる方に、「うちだけじゃないんだ」と思ってもらえたら、うれしいです。

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この記事を書いた人

とりもとのアバター とりもと 元ケアマネ・社会福祉士 / 障害児育児中

高齢者福祉の現場で12年働いた元ケアマネ・社会福祉士。障害のある一人息子の育児中。
息子の育児や療育を通して感じたこと、経験したことを忘れないうちに書き留めておきます。ほか、育児に追われて空白になっていた自分の好きなこと(ハンドメイド)もぼちぼちと。

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