息子は自閉症と知的障害があり、3歳ごろから家からの脱走を繰り返しています。
見張り続けるにも限界があって、私は玄関に鍵を足すことにしました。
つまみを外し、カバーをかぶせ、南京錠をかけ、自分で箱まで作り、最後は数万円のスマートキーまで買って…。
それでも、5回破られました。
買っては破られ、また買っては破られ。書き出してみたら、なかなかの戦績です。
この記事は、その負け続けた記録と、最後にたどり着いた鍵の選び方です。

みなさんには、私の屍を越えていってほしいです…
\限界を迎えて鍵屋さんに電話した日のことは、別の記事に書いています/


はじめは「わかってもらおう」としていた
鍵をつける前に、まず試したことがあります。
それは「玄関に貼り紙をする」ことでした。
玄関に、大きく「〇」か「×」を書いた紙を貼りました。〇は出られるとき、×は出てはいけないとき。


息子の反応は… 全く変化なし。フル無視。効果なし。
注目はおろか、視界にさえ入りませんでした涙。
〇も×も抽象的な記号ですし、「今は出てはいけない」という状況の理解も要ります。当時の息子には、まだ早かった。



今思えば当たり前ですが…当時の私は必死でした。
こういう「伝えて分かってもらう」方法は、たぶん誰もが最初に試してみることだと思います。それ自体は、意味のある一歩でした。
もし今の私が同じことをするなら、記号ではなく、日課や条件で覚えてもらう方法を考えます。
「お昼寝のあとは出られる」「誰々がいるときは出られる」というように。
ただ、これも理解が進んでからの話で、簡単ではないですね…^^;
この貼り紙が通じなかったところで、わが家の方針が変わりました。
伝えて防ぐのではなく、「物理的に開かない」ようにする。
ここから、鍵との長い攻防が始まります。
わが家が破られてきた鍵の記録
ここからは、実際につけて、実際に破られた鍵の記録です。順番に書いていきます。
サムターンを外す → クリップで開けられた
最初にやったのは、玄関の電子錠のサムターン(内側のつまみ)を外すことでした。つまみがなければ回せない、という考えです。
サムターンとは、ドアの内側にある、指でつまんで回す鍵のつまみのことです。
最近の玄関ドアには、このつまみを取り外せるものがあります。もともとは空き巣対策の機能です。
外したつまみは、大人が持ち歩くことにしました。出かけるときだけ、はめて回して開ける。
少し面倒ですが、息子には開けられないはず…!!
これはしばらく有効でした。平穏な時期が続いて、これで大丈夫だと思っていました。
ところが…。
ある日、息子が玄関を開けていました。
文房具のゼムクリップを、つまみのあった鍵穴に突っ込んで開けてしまったようでした。
つまみを引き抜いた跡には鍵穴が残り、錠を回す軸が見えています。そこにクリップを差して、カチャカチャいじっているうちに…開いた。





え…? これは ピッキング というやつでは・・・!?
まさか自分の子どもがこんな、ルパン三世みたいなことをするなんて…。っていうか、開くんだ…。
と、当時の私の頭の中はぐるぐるでした。
急いで、つまみのあった鍵穴部分をガムテープでガチガチに塞いで応急処置。
これは後日談ですが、鍵屋さんに「鍵穴から、意外と開いてしまうんです」と言われました。
※↑ちなみに、実際に真似をすると、鍵自体の故障もありうる危険な行為だそうです…。その意味でも、二重に防がないといけない事態だったということです。
つまみを外しても、その奥の施錠の仕組みは残っている。
そこに気づいていませんでした。
わが家は残念ながら効果なしでしたが、この対策でじゅうぶん防げるご家庭もあるかと思うのでご紹介します。
取り外せるサムターンは、メーカーによって「セキュリティサムターン」「お出かけサムターン」「脱着サムターン」などと呼ばれています。
ボタンを押しながら引き抜くと、つまみだけが手元に残ります。
電気錠(電子錠)のドアにも、同じように外せるタイプがあります。
ご自宅のドアにこの機能があるか調べるときは、「メーカー名」「セキュリティサムターン」で検索してみてください(※「サムターン 外し方」だけだと、部品の交換や修理の記事ばかり出てきてしまいます)。
参考:
LIXIL:玄関ドアのセキュリティサムターン(お出かけサムターン)
YKK AP:防犯配慮|玄関ドアの教科書
三協アルミ:防犯に強い玄関ドア|家づくりのヒラメキ
大手メーカーはどこも同じような機能を用意しているので、お使いのドアのメーカーで探してみてください~。
サムターンカバーをかぶせた → 力づくで取られた
次は、鍵穴に細いものを突っ込まれないように、市販のサムターンカバーをかぶせることにしました。
サムターンカバーとは、ドア内側のつまみの周りを覆うケースです。
もともとは、外からドアに穴を開けてつまみを回す手口(サムターン回し)を防ぐための防犯グッズです。
わが家が使ったのは、手のひらに収まるくらいの透明なプラスチック製で、つまみを外した土台の部分に、上からかぶせて付けるものでした。
ところが、透明なケースは、かえって目を引きます。「ここに何かある!」と伝わってしまう。
しかもカバー自体には鍵がかからないので、ちょっといじれば開けられる上、力づくで引っ張れば取れます。貼って間もなく、取られました。



透明なのが、まずかったのかもしれません…。
中が見えるって、息子にとっては要するに「見てね」ってことでした…。
操作パネルにカバー+ナンバー錠 → 総当たりで破られた
ここからしばらく、電気錠(電子錠)の話が続きます。
壁に設置された操作パネルなどの、離れた場所のスイッチでも開け閉めできるタイプの鍵です。
ドアの鍵だけで開け閉めするお宅には当てはまらない部分があるので、読み飛ばしていただいて構いません。
鍵穴を保護色で塞ぐ
次は、鍵穴そのものを触れないように完全に塞ぐことにしました。
ガムテープで塞いだ鍵穴を、周りの壁やドアと同じ色のビニールテープに替えて、きれいにぴったり貼り直したところ…。
すると一見、穴があること自体が見えにくくなりました。 虫が周りの草の色に同化する保護色のような…。
つくりはとても単純ですが、これが地味に有効でした。



最初は応急処置のつもりでしたが、意外なことに、ここだけは今も貼ったまま一度もはがされていません。
ただ、これで困ったことがひとつ。
鍵穴を塞いだので、大人も鍵穴からは開けられなくなってしまいます。
わが家の玄関は電子錠で、ドアの鍵とは別に、壁に操作パネルがあります。
「開錠」「閉錠」のボタンを押せば、開け閉めができる。大人はこのボタンを押して開け閉めするようにしました。


ここからが本題です^^;
当然、親が操作パネルで鍵を開けているところを、息子はちゃんと見ていました。そして、すぐに自分でパネルのボタンを押して開けるように。



次から次へと…!!(泣)
ひとつ塞ぐと、次に使う場所が新しい弱点になる。
今度は、操作パネルを触らせない細工が必要になりました…。
操作パネルにカバーをしてみる
操作パネルにカバーをかぶせて、そのフタに鍵をかけることにしました。
市販の製品に、壁のスイッチやリモコンを覆う、鍵付きの透明カバーがあります。オフィスの空調のリモコンや、住宅では給湯器のリモコンなどを保護するために使われたりしています。
これだ!と思って買ってみたのですが、わが家の操作パネルが大きすぎて、残念ながら入らず…。
ただ、製品としてはよくできていて、鍵がカバーと一体になっています。固定は両面テープのほかにネジ止めもできます。
操作パネルが「横140mm・縦122mm・厚み25mm」以内であれば入るようですので、サイズが合うご家庭には、いちばん手軽な方法かと思います。
※サイズは、必ず実物のパネルを測って確かめてください~(それと、わが家では付けられなかったので、息子相手の強度は試せていません^^;)。
他にもホームセンターを何軒も回って探したのですが、サイズの合うものは見つからず。
そんなわけで、市販の鍵付きカバーはメルカリで売り(涙)、不慣れながら自分で作ることにしました。


100円ショップのフォトフレームと小物トレーを組み合わせています。
徹夜で仕上げたので、よく見るとかなり雑ですがとりあえず鍵さえかかればいいやという勢いです。
なんせ息子が今にも脱走しようと構えているので、出来を気にする余裕はありません笑。
天井に作ったフタ部分から手を突っ込んでスイッチを操作する(けっこう姿勢的に辛いけどがまん)ため、フタ部分に南京錠を掛けます。
南京錠は100円ショップで買った、小さいナンバー式のものにしました。ちっさい鍵を持ち歩かなくていいので、便利だと思ったからです。
すると…。
番号を当てられる
数週間後、玄関の電子錠が開く「ウィーン、ガチャ」という音と、ぽつんと床に落ちたナンバー式の南京錠…。



鍵が… 開いとるーーーーー!!!!!
番号を当てられました。
総当たりだったと思います。
息子に長時間いじらせた覚えはないので、短い時間の積み重ねだったのでしょう。3桁の番号だったので、何度も試すうちに、開いてしまったようでした。
番号を他のものに変えても、一度「試し続ければ開く」と分かってしまった以上、何度も手を伸ばして挑戦しようとするように…。
次の対策が必要になりました。
差し込み鍵式に変えた → カバーごともぎ取られた
ナンバー式の南京錠をやめて、鍵を差し込む昔ながらのタイプに変えました。
鍵を持ち歩いて、奪われないように気を付けるのは面倒ですが、これなら番号を当てられることはありません。
ところが…
次は、南京錠がついたまま、カバーごともぎ取られました。


当然、中の操作パネルはむき出しになって、そのままボタンが押され堂々と開錠されています。
錠そのものは、無事でした。
壊されたのは、それを支えていたカバーのほうです。



まだナンバーを当てられたほうがマシでした…(立ち直れない)
数万円のスマートキーを買った → 30分で剥がされた
もう手作りではだめだと思い、後付けのスマートキーを購入しました。
玄関のスマートキー(スマートロック)とは?
鍵を差し込まずに、スマートフォン、リモコン、カード、暗証番号などで施錠・解錠ができる仕組みです。
後付けタイプは、室内側の鍵(サムターン)に、スマートキー本体をかぶせるように取り付けるものです。両面テープなどで固定するため、鍵やドアそのものを交換せずに使い始められます。
今ある玄関の電子錠にこのスマートキーを上からかぶせてしまい、親のスマホやカードで認証すれば、いじられなくて済む!!と考えたのでした。
当時数万円しましたが、これで上手く行くなら(痛いけど)惜しくはありません。
取り付けは、強力な両面テープで貼るだけのもので、工事不要、賃貸でも使用可が売りのものでした。取り付け作業も、自力ですぐに出来ました。
…
……
…勘のいい方はとっくにお気づきだと思いますが…
30分で剥がされました。(最速記録)



強力両面テープが固定されるまでじりじり待って、満を持して使用解禁したのに…
どんなに強力でも、テープはテープ。数万円が一瞬でがらくたになりました。
すぐに元の状態に戻しましたが、問題はさらに続きました。
このスマートキーを破ったのが相当息子にとって自信になった(?)のか、しばらく鍵破りの行動が激化してしまったのです。
いける!我なら出来る!!いけいけどんどん!!!
…と息子が思ったかは分かりませんが、 これまで以上に一瞬たりとも目が離せなくなり…
振り出しに戻るどころか、マイナスからの再スタートになってしまいました。
あとから考えると、このスマートキーには弱点がありました。
開いているときと閉まっているときで、見た目が変わらないのです。
息子には「今は開かない」ということが分かりません。だから何度でも挑戦してしまう。
認知の発達がもう少し進んでからの方が、向いていたのかもしれません。
そして、また同じ形に戻った
カバーを作り直して、ひとまず元の形に戻しました。電子錠のパネルにカバーをかぶせて、鍵差し込み式の南京錠で留める。
数えてみれば、ここまでで5回。買っては破られ、また買っては破られ。
素人なりに頑張ってみたものの、努力に見合う結果は得られませんでした。
相変わらず目が離せず、玄関のそばで気を張り続ける日々です。
違うのは、息子が前より鍵に詳しくなったことだけでした。



なんなら、私のせいで事態が悪化したまである…
このあと、わが家は限界を迎えて鍵屋さんを呼ぶことになります。
負け続けて分かった、鍵選びの原則
5回負けて、ようやく分かったことが3つあります。
これから鍵を選ぶ方に、いちばん伝えたい部分です。
1. 破られる鍵は、無いよりマイナス
鍵は破られるたびに、本人に何かを教えてしまいます。
粘れば開く。力を入れれば壊せる。
ナンバー錠を当てた経験は「あきらめずに試せば開く」を教え、ボックスカバーをもぎ取った経験は「力ずくでも開く」を教えました。
そうやって、うちの息子は(悲しいことに)どんどんレベルアップし、鍵破りが上手になっていきました。



息子が、鍵破り職人になってしまった…。
結果的に、私が訓練をしてしまったとも言えます。
療育や支援の場面で、「家族で対応を統一しましょう」「気分で対応を変えないように」などと言われることがあります。対応がブレると、かえって行動が強くなってしまうからです。
同じことが、鍵にも起きていました。ブレる鍵は、ブレる対応と同じ働きをします。
たまに破れる鍵が、いちばん、「やれば出来る」と粘り強さを育ててしまうのかもしれません。
今思えば、鍵は初手から「大げさかな」と思うくらいのものを選んだ方がよかったと感じています。
少しずつ強くしていく形だと、その間ずっと訓練が続いてしまいます。
お金の面でも同じです。
安いものを何個も買って負け続けるより、最初から強いものを一つ選んだ方が、結果的に安く済みます。
わが家は、数万円のスマートキーを含めて、けっこうな額を無駄にしてしまいました。
2. 錠前より「取り付け方」の強度を見る
わが家が壊されたものを並べると、あることに気づきます。
- サムターンカバー → 貼っていた部分ごと取られた
- ボックスカバー → 固定していた部分ごともぎ取られた
- スマートキー → 強力両面テープごと剥がされた
どれも、錠は破られていません。負けたのは取り付け方のほうでした。
鍵を選ぶとき、つい機能や値段を見てしまいます。でも、それをどうやって固定するのかを、同じくらい見ておくべきでした。
「工事不要」「貼るだけ」は手軽ですが、そこが弱点になることがあります。
手軽さと強度は、だいたい引き換えです。元に戻せるということは、外せるということでもあります。
賃貸にお住まいの場合は、原状回復の確認が必要になります。また、持ち家でも工事不要のタイプを選びたい事情もあったりしますが、わが家は後付けの製品を剥がされた経験があるので、固定の強度は慎重に見た方がいいと思っています。
商品を見るときは、「どうやって留めるのか」を先に確認してみる。両面テープなのか、ネジで留めるのか。
どこまで頑丈にできるのかは家側の制約もありますが、できるだけ強いものを目指す。
これが、失敗を防ぐための反省のひとつでした。
ちなみに、わが家が失敗したスマートキーも、工事でドアに組み込むタイプなら、この弱さはありません。
暗証番号やカードで開ける鍵を、工事で付けて解決したご家庭もあります。負けたのは「スマートキー」ではなく、「貼り付け」のほうだったということです。
3. 「見て分かる」鍵が効く
息子は視覚優位です。耳で聞くより、目で見た方が理解しやすいタイプです。
視覚優位とは、耳から入る情報よりも、目で見る情報の方が理解しやすい特性のことです。
だからわが家の鍵は、「見せる」ものと「見せない」ものの2つでできています。
施錠されているかが、見て分かる
今わが家で使っている鍵は、中から見ると施錠状態が一目で分かります。かかっているのか、開いているのかが、見ただけで分かる。
鍵屋さんが勧めてくれたものです。
これに変えてから、玄関に挑む回数が明らかに減りました。
「あ、今は閉まってるな…やめとこ〜 」なんて思っているのかな!?
「開かない」ことが、本人に情報として伝わったのだと思います。
逆に、わが家でスマートキーが失敗したのはここでした。
開いていても閉まっていても見た目が変わらないから、分からない。分からないから、試す。
ただ、これはわが家の息子の場合です。大人の操作を見て真似をするタイプのお子さんには、番号やカード、スマホ認証のように、手順が見えにくい方法のほうが合うこともあると思います。
同じ「見えない」が、弱点にもなれば、強みにもなります。
「開かないムード」を作る
状態だけでなく、見た目そのものにも、伝える力があると思っています。
ドアは開けるためにあるものなので、見れば開けたくなります。それは息子に限った話ではありません。
大人でも、出先などで「これ、どうやって開けるんだろう」と思うドアがあれば、つい触ってみたくなることがあります。
だから、いかに「ここは開かない」という空気を作るかが大事なのだと思います。
昔ながらの、いかにも頑丈そうな見た目の鍵の方が、「これは開かないよ」が伝わりやすい気がしています。
スマートで目立たない鍵より、大げさで頑丈に見える鍵。
わが家には、そちらが合っていました。



ダサい?それはしょうがない…わが子が起こすであろう数々の事故を思えば…(血の涙)
いつかオシャレな家に住みたい~~~!!!
使わない場所は、そもそも見せない
ここまでと逆のこともしています。
先に書いたとおり、使わなくなった鍵穴は、周りと同じ色のテープでぴったり塞いで穴があること自体を見えにくくしました。
透明なサムターンカバーで失敗したのは、ここでした。中が見えるから、触りたくなる。
「開かない」ことを見せるのではなく、開ける場所があること自体を見せないという、反対向きの手でした。
これから使う鍵は「開かない」が見えるように。使わない場所は、そもそも「無い」ように。
やっていることは反対に見えますが、どちらも目に入る情報を整えているという意味では、同じことかなと思っています。
わが家が最後に選んだ補助錠
本当はどんな鍵をどう使っているか詳しくお伝えしたいところですが、わが家の防犯上の理由で、設置場所や組み合わせなどは少しぼかして書いています。
今わが家に付いているのは、分厚く幅広の金属板がスライドする、かんぬきのような作りの補助錠です。鍵屋さんが選んで持ってきてくれたものでした。
あとから知ったのですが、これは面付本締錠(めんつけほんじめじょう)というタイプの鍵だそうです。
面付本締錠とは?
ドアの表面にネジで留めて、太いかんぬきを横にスライドさせて閉める錠のことです。
ドアに埋め込むのではなく、上から付ける形になります。
前の項目で挙げた3つの原則に、すべて当てはまっています。
- 手で壊せる強度ではない
- ネジでしっかり固定されている
- 見ただけで、鍵がかかっているかどうかが分かる
特に3つめの、鍵のつくりがわが家に合っていました。
かんぬきが出ているかどうかが、そのまま目に見える。 ランプでも文字でもなく、存在感のある金属の棒が見えるか見えないか。息子には、これが一番伝わりました。


(もちろん、外からは鍵穴しか見えないので、かかっているかどうかや、留守かどうかは分からないようになっています)
わが家が付けているのは、このタイプです
面付本締錠の標準品は、外側は鍵穴、内側はつまみ(サムターン)の形です。防犯には足りますが、それでは息子が中から回して開けてしまいます。
そのため、内側のつまみを引き抜けるタイプのものを、鍵屋さんが選んでくれました。
家研販売の「安心錠」というシリーズです。
見た目は標準品とほぼ同じで、外側は鍵穴、内側はつまみ。違いは、内側のつまみが引き抜けることと、その下にも鍵穴があることです。
わが家はつまみを引き抜いたままにして、中からも外からも鍵を差して開け閉めしています。
対応するドアの厚みは、標準で26〜46mm。別売の部品を使えば80mmまで対応します。
わが家がこれを選んだ理由は、5つです。
- かんぬきが分厚い金属の板で、手で壊せる強度ではない
- ネジで留める。テープのように剥がされない
- かんぬきが出ているかどうかが、見ただけで分かる
- つまみを引き抜けば、中から回せない
- 鍵を差せば中からも外からも開け閉めできる。帰ってきた家族に、いちいち開けてあげなくていい(←地味に重要)
5回負けたあとで、ようやくわが家に合う鍵に出会えました。
付くかどうかは、ドアで決まる
鍵は、ドアに合わないと付きません。希望の鍵の型番が分かっていても、届いてから付かないこともあります。
- 外からも開ける必要があるか(親以外の家族や支援者が出入りするか)
- ドアの厚み(製品ごとに対応する範囲が決まっています)
- ドアの材質と構造(穴を開けて付けるので、ガラス部分や薄いドアには付かないことがあります)
- ドアの開く向き(製品によって内開き/外開きの対応、左右の区別があります)
- 今ある鍵や電気錠との位置関係(ぶつかると、ずらすか、別の製品になります)
この5つは、鍵屋さんに頼むときも、自分で選ぶときも、先に分かっていると話が早いところです。わが家は、鍵屋さんがその場で見てくれました。
鍵の側と、ドアの側。両方が合って、わが家の玄関はようやく落ち着きました。
鍵をつけたら、避難のことも決めておく
「中から開けられない鍵」は、火災や地震のときに、逃げられなくなるリスクがあります。
わが家では、こんなルールを決めました。
玄関の鍵を、大人の手がすぐ届く決まった場所に置く
家族全員が開け方を知っておく
寝るときの状態を決めておく
補助錠がつまみを引き抜くタイプなら、つまみを差せば、鍵がなくても開きます。置き場所は、大人はすぐ取れて、子どもは知らない場所に。
鍵屋さんに取り付けをお願いする場合には、避難時のことも相談しておくと安心です。
防犯と避難の両方を考えて提案してもらえるかと思います。
賃貸にお住まいの方へ
ここまで、持ち家を前提に書いてきました。これだけ書いておきながら、私は賃貸の方に確かなことを言えるほど詳しくありません(すみません!)。
そのうえで、賃貸の方にこそ知っておいてほしいのが、取り付け方の強度です。
わが家が工事不要のスマートキーを固定のテープごと剝がされたように、原状回復のために選んだ方法が、そのまま鍵の強度の上限になります。
集合住宅の玄関ドアは共用部の扱いで、穴を開けるには管理組合や大家さんの許可がいることが多いようです。わが家のような面付錠は選びにくいかと思います。
穴を開けずに「中から開けられない」にする製品
室内側のつまみを取り替えるだけで、「中から開けられない」にできる製品があります。KABA(カバ)セーフティサムターンです。
賃貸で「中から開けられない」にする道としては、現実的な方法のひとつかと思います。
見た目は、つまみ部分が無い、丸い握りの形です。真ん中に小さな鍵穴があります。
今ご自宅の玄関ドアに付いているつまみと、この製品とを付け替える形になります。
通常の状態では、この握りをひねって回すことで開け閉めできますが、付属の小さなキーを真ん中の鍵穴に差して90度回すと、握りが空回りして中から開けられない状態になります。
もう一度キーを差して90度戻せば、通常の状態に戻ります。
もとは防犯用の製品ですが、脱走を防ぐ目的なら、使い方はこんな感じになります。
- 子どもが家にいる間は、ずっと空回り状態にしておく(いざというとき、鍵を開けられる大人が家にいるときに限ります)
- 出かけるときは、付属の小さなキーでいったん元の状態に戻してドアを開ける
- 子どもと他の家族がまだ家に残っているなら、出る前にもう一度空回り状態にして、外から玄関のキーで鍵をしめる
- 大人も毎回この付属の小さなキーを使うので、置き場所を決めておく
わが家で使えなかったのは、玄関が電子錠で、つまみだけを取り替える形が使えないためです。
留意点としてもうひとつ、この製品は「開かない」ことが見た目で伝わらないタイプです。
握りはいつもと同じ姿で、回せば回る。そのぶん、お子さんが試さなくなるまでに、少し時間がかかるかもしれません。
賃貸で使いやすい理由は3つです。
- 穴を開けません。外した元のつまみを取っておけば、退去のときに戻せます
- 外側は何も変わりません。今までの玄関のキーも、大家さんの合鍵も、そのまま使えます
- 販売店の説明にも「小さいお子様の徘徊防止にも多く使われています」とあります。想定された使い方です
とはいえ、賃貸契約は物件ごとに違うので、付ける前に契約書を見て、管理会社や大家さんに一言伝えておくのが安全かと思います。
もうひとつ気を付けたいのは、この製品が合う錠が限られることです。
MIWAのLA・BH・LSP系、GOALのLX系などで、ドアの側面の金属板に刻印があります。買う前に、そこを必ず確かめていただくか、鍵屋さんに見てもらうかしていただけたらと思います。
大家さんに相談して、工事する道
穴を開ける補助錠でも、大家さんや管理会社に相談すれば、許可が出ることはあるようです。
そのときに決めておくのは、費用を誰が持つか、退去時にどう戻すか(穴を塞ぐのか、ドアごとなのか。いわゆる原状回復です)、合鍵を何本渡すかなど。口約束にせず、書面に残しておきます。
わが家は持ち家で、この道は通っていません。ただ、「賃貸だから何もできない」と諦めてしまう前に、いちど聞いてみる価値はあると思います。
(おまけ)鍵が整うまでの「気づく」工夫
鍵をまだ強くできない間は、「止める」より「気づく」に寄せる手もあります。
ひとつめは、音が鳴る環境にすること。
玄関扉に喫茶店のドアベル(カランコロン鳴るアレです)のようなものや、開閉で鳴るセンサー(防犯用として売られているもの)を付けて、開け閉めで音が鳴るようにする。本人が何もしなくても、ドアが動けば音が出る形です。
もうひとつは、子どもの特性を借りること。
一度決まった手順を変えない(変えられない)タイプの子なら、「玄関に行く→外に出る」の間に、「呼び鈴や早押しボタンを押す」を足してしまう(どちらも100均で手に入ります)。
ルーティーンの強い子の場合、いちど手順として定着すれば、勝手に出て行くときも鳴らしてから出る確率が上がります。
わが家では最近、出かけるときに靴箱をドンと叩く動きがあり、これが呼び鈴の代わりの役目を果たしています(本当はしない方がいい行動ですが…)。
玩具でよく見る、バスの「次止まります」と鳴るボタンが好きで使っていたこともありました。
こういった習慣づけをがんばろう…という話ではなく、その子がもともと持っている「手順を守る」性質を借りる話です。そのため、手順を柔軟に変えられる子や、思い立った瞬間に体が動く子には向きません。
そしていずれも、「気づく」方法の弱点として「鳴ったら親が毎回動かないといけないこと」があります。気づいて駆けつける状況が続くと、子どもがそれ自体を面白がってしまうこともありますし、親のほうが先に疲弊してしまいます。
わが家も、合う鍵が見つかるまでは、玄関のそばで気を張り続ける日々でした。
なので検討する順番は、まず①「穴を開けずに中から開けられなくする製品」、次に②「相談して工事する道」、①か②が整うまでの応急処置としての③「気づく」対策になるかと思います。
まとめ
- 伝えて分かってもらう対策は、理解が進むまでは難しかった
- 破られる鍵は、無いよりマイナス。粘り強さを育ててしまう
- 錠前より、取り付け方の強度を見る
- 見て「開かない」と分かる鍵が、わが家には効いた
ここまで、この記事では色々書いてきましたが…
最後に、ふたつだけ。
ひとつは、すでに何度か鍵を破られてしまった方へ。
この記事を読んで、「うちはもう訓練してしまった…」と思った方がいるかもしれません。でも、選び方が悪かったわけでも、見ていなかったわけでもないと思います。その時に手に入るもので、精一杯やった結果です。
わが家も5回破られてから、ここにたどり着きました。
(…と、解決したように書いていますが、今の鍵がこの先もずっと持つ保証はどこにもありません。息子は成長しますし、また次の手を考える日が来るのだと思います。)
もうひとつは、鍵をかけること自体への後ろめたさです。子どもを閉じ込めているようで、これでいいのかと、私も何度も思いました。
でも今は、鍵があるから息子を不必要に叱らずに済んでいると思っています。
もし叱るだけだったら、24時間のうち20時間くらい叱り続けることになってしまうはずです。
この世で縁あって一緒の家族になれたのに、それは悲しい…。



玄関の前で見張らなくてよくなって、家の中が少し穏やかになりました。
窓の対策と、いなくなったときに気づく・見つけるための対策は、まとめられたら別の記事に書きたいと思います。
\限界を迎えて鍵屋さんに電話した日の話/




