障害児の脱走に限界だった私が、泣きながら鍵屋さんを呼んだ話

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「家から飛び出してしまう」「玄関や窓の鍵を中から開けてしまう」…
障害児育児で、脱走や飛び出しに悩む家庭は少なくありません。わが家もそうでした。
息子は自閉症+知的障害。3歳ごろから、華々しい脱走歴があります(涙)。

一度飛び出すと、交通量の多い車道までまっしぐら。
自宅の玄関ドアが開くなら他の家のドアも開くのでは?と、よそのお宅のドアに向かってしまうこともあり、裸足で追いかけて(靴を履く暇はありませんT_T)、その前に何とか追いついては捕獲する日々。
阻止するために一瞬も気が抜けない状態が続いていました。

この記事は、限界だったわが家が、鍵屋さんに助けられた話です。

目次

繰り返す脱走に限界が来た朝

鍵を開けられないように工夫しても工夫しても、息子に次々破られていた頃…私は限界を迎えていました。
脱走を食い止めるために一瞬たりとも息子から目が離せず、玄関で眠った夜もあります。

ある朝、フラフラで息子を学校に送り届けたあと、私は一歩も動けずにいました。

今すぐ眠れば、お迎えまで少しは休める。でも学校が終われば、また朝まで見張りが続く。
体力を温存しなくてはいけないけれど、休んだところで、また同じ今日が来るだけでした。

もう、自分で対処するのは無理だ………(泣)

力尽きた私が、息子を送り届けたその場から泣きながら電話をしたのが、鍵屋のコールセンターでした。

「鍵のトラブルお任せください!すぐ駆けつけます!(バーン)」
といった、いつか見たCMの力強いセリフが、頭の中でぐるぐる回っていました^^;

電話口の人は、驚かなかった

電話は数コールですぐに繋がり、丁寧な口調の女性が電話口に出られました。
「お電話ありがとうございます。鍵の〇〇サービスです。どういったトラブルでしょうか?」

鍵のトラブルに駆けつけてくれる、救急サービスの業者さん。
「鍵を失くした」「鍵が壊れた」「鍵を中に閉じ込めてしまった」
といった依頼への対応が本来のサービスかと思います。
どう説明したものかと迷いつつ、

あの…鍵を開けてほしいのではなく逆で…あの、鍵を付けてほしいのですけど…あの、開けられないやつで…

睡眠不足で限界(しかも半泣き)の状態で全く上手く喋れない私。
これじゃ伝わらないよと内心焦ってモゴモゴしていたのですが、意外なことに、電話口の女性は動じずにはきはきと返してくれました。

「承知しました、中から開けられないような鍵を付けてほしい、というご要望ですね?」
「はい、はい、そうです…!!!(泣)」

「ご自宅から〇時間くらいの場所に今対応できる者がおりますので、これから向かいます。
お客様は、新しく付けてほしい鍵を既に購入されていますか?それとも、こちらで持参した方がよろしいでしょうか?」
「あ…何も考えず電話してしまって……なんにも無いです。持ってきていただけたら有難いです」
「承知いたしました。ご自宅のドアに合いそうなものをいくつかピックアップしてお持ちしますね」

そのあと自宅のドアの特徴をいくつか質問され、答えて電話は終了しました。
時間にしたら5分もないくらいだったと思います。

予想以上の話の早さに、「あっ…家に帰らなくちゃ…」と、涙も引っ込んだのでした。

鍵屋さんが来た。「この鍵がベストだと思います」

帰宅して待っていると、ワゴン車で鍵の業者さんが訪問してくれました。
既に話は通じており、挨拶すると早速わが家の玄関ドアをチェック。

「このタイプのドアですね。なるほど。そうしたら、この鍵が一番良いですね。お子さんの手が届かない高い位置に、この鍵を取り付けるのはどうでしょう?」

いくつか持参された中から、一番ゴツい(と私には見えました)補助錠を手に取られました。
分厚くて幅広の金属板がスライドする、「かんぬき」のような作りの頑丈そうな鍵です。

「この補助錠は、中からは鍵がかかっている状態と開いている状態が一目で分かります。
けれど外からは見た目が変わりません。中にいるお子さんには開かないことが見て分かって、外からは留守かどうかがバレず防犯になります。どうでしょう?」

ぜひ、お願いします…!!!

お願いするとすぐ取り付け作業に入ってくださり、小一時間で見事に完了。

費用は補助錠の本体代金に、取り付け工事費、出張費が乗って3万円弱でした(当時)。
もっと桁違いな値段を覚悟していたので、拍子抜けしたのを覚えています。
(※今は物価も上がっているので、金額はあくまで当時の参考程度に考えてくださいm(__)m)

あんなにしんどかった脱走阻止の日々が、この日、1時間もしない作業によって、あっけなく終わりを告げました。

「たまにあるんです」…障害児の家庭からも

鍵屋さんが作業をされている間、雑談がてら色々なお話を聞くことができました。

私は「こんなこと頼んでいいのかな」と迷いながら電話しましたが、鍵屋さんによると、こうした依頼はたまにあるそうです。
ほとんどは、認知症の方を介護しているお家。
そして、まれにわが家のような障害児の家庭もあるとのことでした。

「今まで、お客さんの事情に合わせて色々な鍵を取り付けてきましたよ。やっぱり、一般的な住宅の備え付けの鍵では、工夫しても難しいことが多いです。」
「そうなんですか…?(うちだけじゃない?)」

息子は以前、電子錠のサムターン(内側のつまみ)を外した鍵穴に、文房具のクリップを突っ込んで開錠してしまったことがありました。
そのことを話すと、鍵屋さんはうなずいて、こう言いました。

「そうなんです、鍵穴から意外と開いてしまうんです。小枝で開けてしまったお子さんのお家に行ったこともありますよ」

「マジですか……!!」

クリップに頭を抱えていたわが家の斜め上を、小枝で開ける猛者がかっ飛んでゆく。
もっと早く、こういう人に訊けばよかった。
素人が太刀打ちできる範囲は、もうとっくに超えていたのです。

もっと早く、プロに聞けばよかった

こういうことは、福祉や教育の専門家に相談しなければいけないと思い込んでいました。
でも鍵のことは、鍵のプロが一番よく知っていました。街のなかにも、頼れる人はいたのです。

そもそも鍵屋さんに頼むようなことなのか、畑違いのお願いをして困惑されるんじゃないか。そんな不安がありました。

でも鍵屋さんにとっては、たまにある依頼のひとつだったようです。変な依頼だとも思われず、断られることもありませんでした。

あとは、どこに当たるか。
あのときの私は、切羽詰まって、本当に何も考えずに電話をかけました。だから「たまたま良い業者さんに当たっただけ」なのかもしれません。

これをただの運任せで終わらせないために、後から振り返って気づいたことを書き留めておきます。

最初の電話で、依頼の理由をはっきり伝える
「子どもが鍵を開けて外に出てしまうので、中から開けられない鍵をつけたい」と伝えると、その手の依頼に慣れた人につないでもらえる確率が上がります。
認知症の介護でも同じ需要があるので、わが家に鍵屋さんが来てくれた当時より、経験のある業者さんは増えているはずです。

料金の目安を見てから電話する
わが家が依頼したのは2020年前後なので、現在は物価や人手の状況など大きく変わっていると思います。
駆けつけ系のサービスは休日・夜間にかかわらず受け付けてくれる分、料金は高めになりやすいです。
今はどこも目安の金額をサイトに載せているので、電話する前に見ておくと安心です。

急いでいるなら、かつて私が依頼したような、休日・夜間も対応してくれる駆けつけ系のサービスがあります。
私が依頼した会社とは違うのですが、たとえば、こちらです

鍵のトラブル救急車(公式サイト)

※対応エリアはお住まいの地域によって異なるので、公式サイトでご確認ください。

少し待てるなら、「くらしのマーケット」のような直接業者さんを探せるサイトで、口コミや料金を見ながら、じっくり選ぶ方法もあります。

火災や地震のときは要注意
「中から開けられない鍵」は、火災や地震のときに、逃げられなくなるリスクがあります。
わが家では、大人がすぐ手の届く決まった場所に鍵を置いておく、家族全員が開け方を知っておく、といったルールを決めました。
取り付けの際は、鍵屋さんにも避難時のことを相談しておくと安心です。

まとめ:限界なら、電話していい

  • 鍵を破られ続けて限界だったわが家は、鍵屋さんに助けられました
  • うちと同じように頼む家庭は、ほかにもありました
  • 助けは、意外なところに転がっているのかもしれません

思うようにいかないことも多い障害児育児ですが、自分の知らない誰かの仕事に、ふと助けられることがある。そう感じた経験でした。

今も鍵は手放せません。外せばきっとあの日々に逆戻りです。
根本的に解決したわけではないし、不安がなくなったわけでもありません。
それでも鍵のおかげで、わが家の毎日は回っています。

同じように、どこかで鍵と向き合っている方がいると思います。
また、今日もやっていきましょう。

わが家がどんな鍵を選び、窓をどうしたかは、まとめられたら別の記事に書きたいと思います。

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この記事を書いた人

とりもとのアバター とりもと 元ケアマネ・社会福祉士 / 障害児育児中

高齢者福祉の現場で12年働いた元ケアマネ・社会福祉士。障害のある一人息子の育児中。
息子の育児や療育を通して感じたこと、経験したことを忘れないうちに書き留めておきます。ほか、育児に追われて空白になっていた自分の好きなこと(ハンドメイド)もぼちぼちと。

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