来年から、いよいよ小学校。
わが家の息子は、知的障害があり、地域の支援学校へ進むことが決まっていました。でも、入学が近づくにつれて、うれしさより不安の方が、大きくなっていきました。
「ひらがな、少しは読めるようにしておいた方がいいのかな」「身の回りのことも、もう少しできるように…」。
入学までに、何か準備しておかなきゃいけない気がして、私は漠然と焦っていました。
そんなとき、進学先の支援学校の先生に、就学相談で思い切って聞いてみました。返ってきたのは、拍子抜けするほど、やわらかい言葉でした。
「焦って準備しなくて、大丈夫ですよ」。
この記事では、就学前にそわそわしていた私が、先生に聞いて「なんだ、そうだったのか」と気持ちが軽くなった話を、いくつか紹介します。
支援学校の先生に聞いた「焦って準備しなくていい」こと
就学相談では、学習のことだけでなく、気になっていたことを、いくつか聞いてみました。どれも、答えは「焦らなくて大丈夫」でした。順番に書いていきます。
先取り学習はしなくていい
家庭で、学習の準備をどこまでしておけばいいですか?
ひらがなとか、数とか、自分の名前だけは分かっていた方がいいとか。そういったことがあるのかどうか尋ねてみました(息子は全然分からない状態でしたので^^;)。
返ってきた答えは…
焦って準備しなくて大丈夫ですよ。学習は学校で、その子のペースに合わせて個別に見ていきます。先取りは要りません。
「時間割にそっての授業になりますが、時間の感覚もまだ分からなくて当然なので、気にしなくていいですよ」とのことでした。
実際、入学してみると本当にその通りでした。
授業はほぼマンツーマンに近い形で、息子のレベルに合わせて、先生がプリントやパズルを作ってくれています(なにせ、教科書や普通のドリルだと難しすぎてできないので)。
クラスには、息子よりうんと進んで日記などを書いているお友達や、息子と同じく運筆の練習からじっくりやっているお友達もいます。
完全に一人一人の子の進度に合わせるので、「家庭で先取り学習をする必要はない」と言われていたのは本当だったな~と今思います。
トイレ・着替えも、できてなくて大丈夫
「おむつがまだ取れていない」「一人でご飯を食べられない」など、入学前の心配は尽きません。わが家も、トイレに行きはするもののきちんと用を足せなかったり、無関係の物を流して詰まらせたり、そのままどこかへ逃走したりといったことがありました。
身の回りのこと(トイレや着替え、食事など)も、入学までに全部できていなくて大丈夫ですよ。
見守りや補助が必要なことは教員が付き添いますし、学校生活の中で、少しずつ、一緒に取り組んでいきます。
詳しく聞くと、ふたつのことを言ってくれました。
ひとつは、「今できないことは、教員が付き添って手伝う」ということ。もうひとつは、「これからできるようになりたいことは、授業の中で目標を立てて、少しずつ一緒に取り組む」ということ。
「今、助けてもらえる」ことと、「これから、できるようになっていける」こと。その両方を、学校が支えてくれる。そう分かって、ずいぶん気が楽になりました。
座っていられなくても、大丈夫
入学前、心配だったことの一つが、「授業のあいだ、じっと座っていられるだろうか」でした。個別療育の場ですら自席からすぐにいなくなり、家でもどこでも、目についた物に向かって次々立ち歩いてしまう息子。これも、思い切って聞いてみました。
じっと座っていられない子は、たくさんいますよ。1年生の最初から座り続けるのは、そもそも難しいんです。
その子に合わせて、好きな活動を挟んだり、気分転換したりしながら進めていきます。



うちの子も、ほんと動きが激しくて…。例えば、どんな対応をされていますか??
これ!といった絶対の手立てはないのですが、一人ひとりの状況に合わせて以下の方法などを試しています。
本人の好きな活動を準備しておいて、まずは「座れた」ことを褒める。
見通しがなくて不安、教室に入れないという子には、初めは遠くから教室の全体の状況を見て過ごしてもらう。
「みんな座ってる」と周りを見て座る子もいる。(一人では無理でも、クラスメイトがいればできる)
遊びの要素がある教材(パズルなど)を上手く取り入れ、飽きないような工夫をする。
授業時間中座り続けるのはどんな子であっても元々難しいので、授業の合間に係の仕事を挟むなどして、席を立たせる時間を作る。 などなど…
実際に入学してみると、心配したほどではありませんでした。息子が興味をひかれるような教材がたくさんあるので机に食いつき、もし立ち歩いても先生が上手に切り替えてくれて、少しずつ座れる時間が増えていきました。
いちばん大事なのは「楽しいと思えること」
いくつか質問をして、いちばん心に残ったのは、先生のこの言葉でした。
一番大事なのは、「学校へ行けば楽しい」と思って入学してきてくれること。
学校に入ってから何とかなることはたくさんあります。「楽しいと思える」これ以上のことはないです…!
何か家庭でもできることを…と意気込んで聞いたので、「えっいいの!?」と拍子抜けするくらいでした。
楽しければ何でもいいの?
…といった疑問を感じる方も当然おられるかと思いますが、これは「楽しいことだけさせていればいい」という意味ではない、と私は受け止めています。
大切なのは「まず、学校を嫌な場所にしない」こと。いったん「学校が辛い」と思ってしまうと、そこから立て直すのは本当に大変です。逆に、「学校はいいところ」という土台さえあれば、その上で難しいことや不快なことにも、きっと少しずつ向き合っていけます。
まず入り口では、何より「楽しい」を大事にしたい。そういったお話をされていました(※この言葉の本当の重みを、私は後になって、もっと深く思い知ることになります。その話は、いつか別の記事で)。
もちろん、これはわが家の入学先(ひとつの支援学校)での話で、学校によって対応は違うと思います。でも「親が準備しておかないと」と気負わなくていい、という先生の言葉は、当時の私にはとても救いになりました。
それでも、家庭でできること
「焦らなくて大丈夫」「準備しなくていい」と、何度も言ってもらいました。でも、「本当に、親は何もしなくていいのかな?」と思ってしまうのも、また親心…。
実は先生は、家庭にできる大事なことも、教えてくれました。
「何が好きで、何ならできるか」を知っておく
これは、支援学校の先生に言われて「なるほど」と思ったことです。
保護者の方からの協力で、ありがたいのは『情報』です。
『○○なら出来る』
『△△を××すると出来る』
『○○が好き』
『□□に興味がある』
こういう手がかりが事前にあると、教材を準備するときの参考になりますし、新年度に試行錯誤する時間(本人への負担も)が短くなります。
つまり、家庭でいちばん役に立つのは、ドリルを完璧にこなすことより、「この子は何が好きで、何ならできるのか」を見つけておくことなのかもしれません。それは学校にも引き継げる、立派な“学習準備”です。
\ 「好き」に寄せてわが家がやってきた工夫は、別の記事にまとめました /


まとめ
就学前は、「あれもこれも準備しなきゃ」と、ずっと焦っていました。でも、支援学校の先生の「焦らなくて大丈夫」という言葉に、何度も救われました。
もちろん、学校によって対応は違いますし、不安が全部消えるわけではありません。それでも、心配なことは一人で抱え込まず、まず学校に相談してみてください(…と、私が尋ねた先生もおっしゃっていました)。聞いてみるだけで、気持ちが軽くなることもあります。
入学前の不安でいっぱいだった、あのころの自分に伝えるつもりで書きました。同じように悩む方に、少しでも届けばうれしいです。










