知的障害のある子のひらがな|ドリルが響かなかったわが家が、家で試したこと【障害児の学習支援】

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知的障害のある子のひらがなを家庭で工夫する記事のアイキャッチ画像

ひらがなのドリルを買ってきても、よさそうな知育玩具を用意しても、息子はあまり興味を示しませんでした。一般的に「いい」とされるものが、我が子にはどうも響かない。同じような経験のある方も、いるのではないかと思います。

わが家の息子は、支援学校に通う知的障害のある子です。ひらがなの学習は今もゆっくりで、これさえあればという解決策があるわけではありません。むしろ、試してみて空振りに終わったことも、たくさんあります。

この記事では、そんな私が、家でやってみたことを並べてみました。うまくいったことも、そうでなかったこともあります。「こうすべき」というおすすめではなく、ひとつの家の実例として、読んでもらえたらうれしいです。

目次

わが家が家庭でゆるくやってきたこと

いつか息子は大人になって、親はそばにいられなくなるときがきます。それまでの毎日もその先も、文字が少しでも使えたら、本人を助けてくれるはずです。
だからやっぱり、文字とは仲良くなってほしい…そう思ってきました。

とはいえ、ひらがなを見せても、たいていはそっぽを向かれます。正面から「覚えよう」とするのは、どうも息子には合わないようでした。

それならと、わが家がやってきたのは、「ひらがなを勉強させる」というより、文字に親しむ遊びです。
本人が楽しいと思えるゆるさで、ゆっくり続けてきました。以下のような内容です。

息子の持ち物すべてに、ひらがなで大きく名前を書く

息子の持ち物すべての、目につく部分にデカデカと名前を書きました。恥ずかしいくらいデカデカと。
文字をまだ認識していない頃は、本人の好きなイラストやマークを目印にして、「これは自分のもの」と分かるようにしておきました。

これは、保育園や療育施設、支援学校などでも、広く行われている方法だと思います。

持ち物に子どもの好きな車のマークを目印として付けた例
最初は本人の好きなマークだけでも◎

マークは何でも良いのですが、お店でシールやグッズなど手に入りやすい、ポピュラーな図案が使いやすいかと思います。
そのマークに見慣れてきたころ、次はその横にひらがなを添えていきました。

車のマークの横にひらがなで名前を書いた、持ち物の名札の例
慣れた形のとなりに文字を置くことで、自然に目に入るようにします

持ち物すべて(家で使うものにも)に書くのは結構大変なのですが^^;
読めなくても、「自分のもの」の印として親しんでもらううちに、文字の形にも少しずつ触れられたら…といった気持ちで続けていました。

モールで数字やひらがなの形を作って遊ぶ

手で触りながら、文字の形に親しんでもらえたら、というねらいです。

モールで数字の形を作って文字に親しむ家庭学習の様子
※これは数字ですが、ひらがなも同じように作れます

息子は、いわゆる「視覚優位」(耳で聞くより、目で見たほうが理解しやすいタイプ)で、目で見た情報をとても頼りにして生きています。その息子に、目だけでなく指でも形を感じてもらえたら、文字ともっと仲良くなれるかなと思いました。
モールは曲げやすくて、ひらがなや数字の形を作るのにちょうどよかったです。

作ったものは息子に遊ばれてぐしゃぐしゃになってしまうのですが、それも良し。作っているところを見ていてくれたら、しめたものと思ってやってました。

モールは、工作などで使うこういう物です。文房具屋さんやホームセンターなどで100〜200円くらいで買えると思います。今は100均にも豊富に売っています~。

グルーガンやもこもこペンで、立体的にもり上げた文字をなぞって遊ぶ

モールと同じく、手でさわって楽しむ仲間です。文字を立体にすると、指でなぞったときの感触が出てきます。

グルーガン
手芸用のグルーガン(ホットボンド)で、紙やボードに文字をなぞるように描くと、線がぷくっともり上がります。乾くと、指でなぞれる立体文字になります。

※グルーガンは先が熱くなるので、必ず大人が扱って、お子さんがさわらないよう見守ってくださいね。

もこもこペン(布に書いて、温めると膨らむタイプのペン)
布に書いて、ドライヤーなどで温めると、書いた部分がぷくっと膨らむペンです。
文房具屋さんや、手芸屋さんで売っています。

※当時わが家で使ったもの(廃番のようです)とは別商品ですが、布用で、熱を加えると膨らむ「似たタイプ」です。

グルーガンは熱いこと、もこもこペンは温める時間がかかることから、モールのように「その場で一緒に作る」とはいきませんでした。でも、作ったものを渡してあげると、息子は触感を楽しみながら、よく指でなぞっていました。
玩具など、本人が気に入っているもので材質的に大丈夫であればもこもこペンで名前を書いてあげたりもしていました。乾くまでの時間が持てるようなら、一般的な木工用ボンドなどでもできるかと思います。

ひらがなのなぞり絵本を一緒に見る

指でなぞって、文字に親しむ絵本です。これも、わりとメジャーな方法だと思います。
わが家が選んだのは、息子の大好きな電車がたくさん載っている「のりものえほん(視覚デザイン研究所)」シリーズのものでした。
息子の好きなものであれば、少しは興味を持ってくれるかな、という希望です。

ただ、正直に言うと、肝心の「なぞり」に注目してもらうのは、意外と難しかったです。ページをめくる作業の方に夢中になってしまうこともよくありました。

そんなときは、本人の手をそっと握って一緒に線をなぞってみたり、ガチャガチャなどで手に入る小さな電車の玩具を、文字の線の上で走らせてみたりしていました。電車が線の上を通ると、息子も、その動きを少し目で追ってくれました。

文字を覚えるというより、好きな電車と一緒に、文字の形をながめる時間になればいいな…と、思って続けていました。

お風呂にひらがなポスターを貼る

一般的な、お風呂の壁に貼るひらがなのポスターです。
文字を読み上げたり注目を促したりすると、本人に義務感が出てしまう気がして、あえてやっていませんでした。あくまで、毎日のお風呂で、あいうえお表をなんとなく見慣れてくれたらいいな~くらいの気持ちで貼っていました。

息子は電車好きなので電車の絵柄のものにしていました(普通の本屋さんや、100均などで買えるものは興味を示さず…残念)。お子さんが興味を持てるものがあったらラッキーですし、まずは安く手に入るもので様子を見てみるのも良いかもしれません。

諦めずに、そのうち食いついてくれるものが見つかったらいいな~くらいの長期戦が、負担になりすぎず良いかなと思います。

好きな物のロゴを、文字に親しむ入口にする

息子は、お店や商品のロゴ、それに標識やマークを、よく覚えていました。文字を「意味」としてではなく、「形」で、絵のように見ているのかもしれません。
本人の中では、ロゴも標識も文字も、同じ「形」の仲間だったのだろうと想像しています。

それに気づいてからは、本人の好きな物のロゴを切り取って、目に触れるところに置くようにしました。ひらがなのドリルには見向きもしなかった息子が、好きな物の文字なら、比較的よく見ていたように思います。

もちろん、読んでいたわけではありません。あくまで「見ていた」だけです。それでも、文字を嫌がらずに眺めてくれること自体が、当時はうれしい一歩でした。

あまり上手くいかなかったこと

ここまでは効いた工夫の話でしたが、もちろん、空振りもたくさんありました。
(ありすぎて忘れていることも多々…。思い出したら順次追加していきます^^;)

周りの物に名前を書いて貼る

周りの物に、「テレビ」「いす」などそのものの名前を付せんなどで書いて貼っておく方法です。

いすに「いす」と書いた紙を貼った、物に名前を貼る方法のイメージ図
※こんなイメージです

やってみたところ、息子にはその物自体に興味がないので無視されてしまい、あまり効果はありませんでした。
ひらがなを知った後に、身の回りのものの名詞を覚えるのに効果的な方法だと思います。息子の場合はこれからですね。

かるた

かるたも今のところ、目立った変化がないもののひとつです。
かるた自体は、ひらがなに親しむ定番の遊びですが、息子はたとえ興味のあるものの名前でも、頭の一文字だけを意識するのが難しいようでした。

これは、さきほどのロゴの話とつながっている気がします。今の息子にとって文字は、一文字ずつの組み合わせというより、ひとかたまりの「形」。その形が、音や意味と結びつくのは、まだゆっくりなのかもしれません。

わが家が大事にしていること

やってきた中で、大事にしていることが2つあります。

1.「効果を狙わない」こと

どれも、療育の専門家の先生が正確な見立てのもとにやるのと違って、効果を狙ったものではありません(あまり素人が結果を求めると心が折れるのでやめました笑)。なので、本人が楽しめる範囲で、ゆるくやってきました。

あとから、学校でも「遊び⇄教材」を授業時間の中で行き来しながら学んでいるお子さんもいると聞いて、家のこのゆるさも、そんなに的外れじゃなかったんだな、と少しホッとしました。

2.その子の「好き」に寄せること

こちらが「これで覚えてほしい」と思って選んだものより、息子は、自分の好きなものの方にずっと興味を示してくれました。電車が大好きなので、電車モチーフのものにはよく食いついてくれましたし、好きなお菓子のロゴも、不思議とよく見ていました。

親が教えたい順番ではなく、本人の「好き」に寄せると、嫌がらずに付き合ってくれた気がします。

その子が何に興味を持つのかが分かっていれば、ドリルが響かなくても、そこに寄せて工夫ができます。完璧にこなせる教材を探すより、本人の反応を見る方がずっと頼りになりました。

まとめ:頼りになったのは、息子の「好き」

ここまで、わが家が家でやってきたことを、うまくいったことも、いかなかったことも並べてきました。

以前は、「どこかに、もっと息子に合う教材があるはず」と思っていました。「これだ」というものを求めて、何時間もネットを探し回ったり、大きな本屋さんをはしごしたりしていました。それでも、これと言えるものには、なかなか出会えませんでした。

結局、いちばん頼りになったのは、教材そのものではなく、息子の「好き」でした。
特別なことは何もせず、本人の好きに乗っかって、遊びの延長で文字をちょこちょこいじってきた程度だったなーと思います。

今も、息子のひらがなはゆっくりです。それでも、正面からぶつかっていた頃より、親子で穏やかに付き合えるようになりました。
うまくいかなかったものもありますが、またやってみたら今度はうまく行くかもしれないですし、他のお子さんには合っていたりすることもあるかもしれません。

もし今、定番の教材が響かなくてあちこち探しては悩んでいる方がいれば、「こういう家もあるんだな」と、ふっと息をついてもらえたらうれしいです。

\ ひらがなの宿題に悩んだときの話はこちら /

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この記事を書いた人

とりもとのアバター とりもと 元ケアマネ・社会福祉士 / 障害児育児中

高齢者福祉の現場で12年働いた元ケアマネ・社会福祉士。障害のある一人息子の育児中。
息子の育児や療育を通して感じたこと、経験したことを忘れないうちに書き留めておきます。ほか、育児に追われて空白になっていた自分の好きなこと(ハンドメイド)もぼちぼちと。

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